知識創造企業とアジャイル開発とスクラムと自分

気づかされる日々

最近は、海外出身の人たちと近い距離で仕事をしてて、文化の違いを感じて面白い。そういうところを気にするのか、そこは気にしないのか、とか学びながら、というか、日本人はあの部分は気にしないけど、そこは気にするってことか、みたいに、海外出身の人たちの文化を感じると同時に、日本の文化、それが当たり前すぎて気づくことが難しい部分、に気づかされるような日々を過ごしてた。

そんな中で、自分の中にこういう気持ちがあることにも目を向けさせられた。

スクラムとは違う何か

この10年間、スクラムを勉強して、そこから得た学びを元に実践の中に取り入れたりしつつ開発をしてきたのだけど、自分の中では、そろそろいいんじゃないかという気がしているんだなって気づかされた。これまで、スクラムの考え方を基準にして、組織の形や自分の役割やチームのあり方を疑って、改善してこれたと思う。そして、もう十分「良い活動をできる組織」になってきたと思う。(「良い組織」になったということよりも、そのベクトルのことを「良いな」と思っている)

なので、次の一歩として、こういうことを考えてみたいなと思った。

組織にあった開発スタイル

正直に言うと、この10年間、スクラムをちゃんとやったことはない。というか、できたことはない。そこで悩んでいる部分もあったけど、常に考えていたのは「今のみんなの頑張りをつなげたい」ということで、そのチームや組織の状況や現在のステージに合わせて「スクラムを学ぶ中で得たもの」を活用して、改善をしてきた。

なので、スクラムできてないなぁ、って目をそらすんじゃなくて、僕らの組織の形で目指せる開発スタイルってどういうものだろう?ということを考えても良い時期なのかなと思ったのだ。

日本からのスクラム・海外からのスクラム

さて、スクラムを学ぶ中で、自分の中にずっとふわっと置いてあった気持ちがある。それは「スクラムは海外の人が日本のやり方を参考にしたことが発端の開発手法」なんだよなということ。海外の人から見たスクラムと日本の人から見たスクラムは、違うものなのではないかということ。僕らはもっと暗黙知よりで動くことができそう。

最初に触れたように、僕は、海外出身の人たちと仕事をする中で、文化の違いを感じていた。良いとか悪いとかではなく、単に「違う」というだけなのだけど、海外の人の方が「個」が強くて、役割や境界の明文化を求める。(ここで僕が想像している「海外」は欧米だなと書いてて思った。アジア出身の人たちはまた違う)。それに対して日本の人は「場」が強くて、役割や境界はふわっとしていても気にせずに仕事をする。

この違いが面白いなぁと思うのと同時に、ここにヒントがありそうだなと感じ、もう少しスクラムと日本のことを知りたくなって、この本を手にとった。先に言うと、すばらしい本だった。

知識創造企業

books.rakuten.co.jp

この本は、日本企業が意識的・無意識的に開発し実践してきたその経営原理を「組織的知識創造」というコンセプトで捉え「知識創造企業」というコンセプトを提言している。25年前の本で、製造業の新製品開発を中心としたものなので、そのまま現在の自分の業界に当てはめることはできないのだけど、日本と欧米との文化の違いについての分析や考察など、はっとさせられることや考えさせられることがたくさんあった。

読んでいく中で「現在のスクラムアジャイル開発を野中さんが見たらどう感じるんだろう?」と考えずにはいられず、以前に買ったこの本を読み直してみた。

アジャイル開発とスクラム

books.rakuten.co.jp

これまた、良かった。特に野中さんがアジャイルなソフトウェア開発についてお話されているのが「それ、聞きたかったところです!」という気持ち。以前に読んだときには、形式的な部分だけを言葉で捉えていたのが、今回はもっと深いところで共感することができたと思う。この数年間の自分の経験や、知識創造企業を読んだことによる学びからの実感があったのだよなぁ。とても良かった。

そして、僕が感じているようなことは、平鍋さんが既に言葉にしていた。「本書を作るにあたって考えたのは、危機的な状況下で日本の経営のあり方が問われる中、日本ならではのイノベーションを今一度発信していけないかということでした。」僕は正直、イノベーションまでは考えてないけど、日本の文化ならではの開発手法・組織のあり方を見つけられたらいいなぁと思っている。

新しい一歩

日本の伝統的な部分には、あまり好きではない部分もあるので、その辺りを見直しつつ、欧米の考え方の良い部分から学びつつ、日本の文化の良い部分を土台にして、何か自分にとって新しい一歩を踏み出せたらいいなと思った。折角、日本の文化の上で、色んな国の出身の人たちと仕事をしているのだから、その強みをみんなと探していけたらいいなと思っている。

まぁ、まわりまわって「スクラムに戻ってきた」ってなったりするかもなぁとか、何もしないうちに年を重ねてしまうかもなぁとか思いつつ、とりあえずこの2冊の本を読んで、今感じていることを書いてみた。