「ユニコーン企業は書籍に書かれているようなアジャイルなんてやってない」

4/26 に発売されます!

ユニコーン企業のひみつ」をいただいて読みました。読みやすくて面白かったー。4/26 に発売されます!チームをリードしている人や組織づくりをしている人にはもちろんおすすめだし、メンバーの一員としてチームの中で仕事をしている人も「なるほどそんな風に仕事をしてるのかー!」って感じることができて面白いと思うー。あと、アジャイルな開発とかスクラムをやってる人ももう一度自分の大切にしているものを見直すことができるんじゃないかなぁ。ぜひどうぞ。

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ユニコーン企業はスクラムをやっていない

この本の「ユニコーン企業」とか「テック企業」って「大きくなってもスタートアップみたいな働き方をしている企業」のことで、GoogleAmazonFacebookSpotify のような企業を指してる。そういった企業が何を大切にしているか、どんな風に開発を進めるのかを著者が働いていた Spotify の事例を中心にして教えてくれる。当時の Spotify はまだ分かるけど Google とかはユニコーンって感じでもないけどねw(著者の独自の定義らしい)

そして、ユニコーン企業ではスクラムをやってない、スクラムマスターもいない。って話は、とても興味深い。こういう「自分はどうしてスクラムをやってるんだっけ?」みたいなことを再考させられる機会って好き。一歩深く自分の考えを確認できるから。

エンタープライズ企業はスクラムをやっている

ユニコーン企業との対比で、時流に合わなくなった姿として「エンタープライズ企業」が出てくるんだけど、そのエンタープライズ企業でやってるのは、ウォーターフォールなのかなぁ?って思いきやそうではなくて、アジャイル・具体的にはスクラム、というのがまたこれ面白い。2015年頃の話だと思うから、5年前くらいか。「アジャイルはもう『ふつう』なのですから」そっかー。

ただ、このエンタープライズ企業は本の中で「いやいや、そんなことはやらんやろ」って思うようなことをやる企業なので「それと比べてユニコーン企業はすごいんだ!」って言われてもところどころ「ちょ、ちょっと考えさせてくれ」ってなってしまったw

あ、そうだ、なんとなく先に訳者あとがきを読んだんだけど、先に読むのおすすめ。Spotify モデルは使われていない、みたいなちょっと前に話題になった話にも触れてるから。

読みやすい

著者は「アジャイルサムライ」や「初めての自動テスト」のジョナサン。

著者の他の本を読んだことある人は分かると思うけど、そんないつもの感じで、かわいいイラストとか、喋りかけるみたいな文章で、とても読みやすい。ページ数も190ページでサクッと読める。ジョナサンは、なんか、すごく楽しんでる感じが伝わってくるので、読んでてこっちも楽しくなってくるね。

さらに日本語訳もとても自然で違和感がない。普通は、翻訳された本を読んでたら、ちょこちょこ日本語に違和感があって、原文を見に行って「あぁそういうことか」ってなることがあるんだけど、この本は原文が全然気にならない。(興味本位で原文を見に行って「うぇー、この英語をそういう風に翻訳するのかー!確かにそれだと自然だけど・・・すごいなぁ」みたいにはなってたw)

プロジェクトで仕事を進めない

僕は特に「プロジェクトで仕事を進めない」ってとこに、色々と考えさせられたなぁ。指示されて動くんじゃなくて、自分たちで考えて動けるような自己管理チームにしていくにはどうしたらいいのかなぁって、ぼんやり考えてるところでもあったので、色んなヒントがあったし、確かにそうよなぁって考えさせられることがたくさんあった。RSGT 2019 でクリスが「見積もりをやってない」ってのを聞いたときと似たような感覚。

具体的なプラクティス

Spotify の組織づくりや、それがどんな風に機能していたかを結構具体的に教えてくれてるので、特に組織づくりを考えてる人は面白いかも。ただ、Spotify の具体的な事例なので、そのまま自分のところでやってみるというよりは、その要素を咀嚼して実験してみる、という感じになるかな。そういうことを考えるのも読んでて面白かったな。

ジョナサンが驚くの?

読んでてもうひとつ興味深かったのは、あのアジャイルサムライのジョナサンが「びっくりした!」みたいに書いてるところ。「こんな風に言う人なんてこれまで見たことない」(うろ覚え)みたいに言ってるところがあったんだけど「へー。アジャイルサムライ書いたような凄い人も、こんなことで驚くのか!」ってちょっと身近に感じてしまったのだった。

ただ、できてることも結構あるなぁ

Spotify すごいなぁとは思う一方で、自分のいる組織でできていることも結構あって、その辺りを考えながら読むのも面白かったな。Spotify はそういう方法を選んだんだなぁって思うけど、自分のいるところでは、スクラムマスターがいてもいいし、スクラムやっててもいいし(あぁアレンジしてるからスクラムとは呼べないものかもだけど)、プロジェクトがあってもそれを会社の文化に合わせて有効に活用できてたら、それでいいと思ってる。

あなたはどうする?

全体として「僕らはこうやった。あなたはどうするの?」って問いかけられてる感じ。この本で得られた情報をそのままコピペするんじゃなくて、それをヒントに、自分たちのいる場所をどんな風に良くしていけるだろう?ってことを考えてかなきゃね。って思って楽しくなった。ありがとうジョナサン。

面白かったー

ということで、読んで良かったです。ぜひ手にとってみてください。翻訳お疲れさまでした。ありがとうございました!